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HSPという概念について私が考えていること

前置き:
本記事はHSPという概念に疑問を投げかける内容が含まれていますが、HSPの捉え方について考えてみたいという趣旨であり、HSPに当てはまる方や、その困りごと自体を否定するものではありません。

HSP(Highly Sensitive Person、敏感な気質を持った人)という概念があり、よく使われていると思います。しかし私は、HSPであるとされる特徴は別の概念で説明できるのではないか?と考えています。
※自分は専門家ではないので、あくまで個人の考えであることをご理解ください

ネットや書籍などのHSPのチェックリストや説明を見てみると、以下のような項目が多く、これらの特徴があるとHSPである可能性が高いとあります。

・人の感情に敏感
・芸術に感動しやすい
・音や光、においに敏感 など

しかし、各項目はHSP以外の概念でも説明できるのではないか?と思います。
上で挙げた3つの項目について私の考えを書きます。

まず、「人の感情に敏感」という点についてです。
これは生まれつきの気質だけではなく、幼少期などに「感情を読み取らないといけない環境」に身を置いていた経験や、対人不安によって説明できる(少なくとも、その影響も考えられる)場合もあると私は考えています。

次に、「芸術に感動しやすい」という点についてです。
これは単に感受性の高さだけではなく、知識や経験の影響もあるのではないでしょうか。例えば絵画などは背景知識がないと価値や意図に気づきにくく、感動することが難しい場合もあります。

そして「音や光、においに敏感」という点については、感覚過敏という概念でも説明できると考えています。

この他にも、HSPの特徴を気質以外で説明できる別の概念や、少なくとも気質以外の影響もあると考えられる場合はあると私は思っています。

私がHSPという概念に疑問を投げかける理由は、HSPという理解をすると、後天的な影響やその他気質以外の要素が関係していたときに、自己理解が不十分になってしまうと考えるからです。

たとえば幼少期の経験が関係している場合に、HSPという概念だけで理解してしまうと、(医療やカウンセリングが回復の唯一の方法とはいわないですが)医療やカウンセリングを利用するという選択肢が見えづらくなってしまうなどがあるのではないでしょうか。

また、HSPに当てはまる人に対し、「HSPの特性を活かした仕事」などを謳う情報商材を販売したりするビジネスも存在し、高額な費用を支払ってしまうケースもあるようです。

このように、HSPという概念は、広がり方によっては危うさがあるのではないかと私は感じてしまいます。

HSPという概念そのものを否定しているわけではありません。
実際、感受性の強さは人それぞれですし、もちろん人よりも敏感な気質を持った人たちはいると思います。HSPという言葉は便利ですが、それだけで自己理解を完結させてしまうことには慎重になったほうがいいのではないか…?というのが私の思っていることです。

ただ私自身、まだHSPという概念に対して理解が不足している点もあると思うので、今後も勉強していきたいと思っています。

参考:
飯村 周平(2023)『HSPブームの功罪を問う』岩波書店岩波ブックレット1074)

溝部 宏二(2023)「それって本当にHSP?―精神科医が観たHSP概念普及の功罪―」『追手門学院大学地域支援心理研究センター紀要』